働きながら生活保護を受けるときの収入の扱い
制度・相談先の確認日:2026年10月7日更新日:2026年10月9日
まず結論
- 働いていても、収入と資産が最低生活費に満たない場合は、生活保護の対象となる可能性があります。
- 働いた収入は、全額がそのまま保護費から差し引かれるわけではありません。国の資料では、働いた収入のうち一定額を収入として扱わない勤労控除の仕組みが説明されています。東京都と大阪府の案内では、交通費や社会保険料などの実費(東京都は税金も挙げています)も収入から差し引かれるとされています。
- 収入は毎月申告します。申告がないと、多く受け取った分の返還を求められることがあります。不正な手段で受けたと判断されると、上乗せの徴収や罰則の対象になることもあります。分からないときは、早めに福祉事務所(市区町村などの生活保護の窓口)の担当のケースワーカーに相談してください。
- 手元に残る額は、収入の額と福祉事務所の認定で変わります。最終的な判断は福祉事務所が行います。
働いている人でも、生活保護の対象となる可能性があります。働いた収入がどう扱われるか、受給中に何を申告するかを説明します。
今すぐ確認すること
- 直近の給与明細を用意し、総支給額と、税金・社会保険料・交通費の額を確認する。
- 収入が月によって変わる場合は、数か月分の収入を書き出す。
- 受給中は、収入を毎月申告する。給与明細などは捨てずに保管する。
- ボーナス(賞与)や臨時の収入も収入として扱われる。入ったら申告する。
- 「いくらまで働いても保護費が減らない」とは言えない。手元に残る額は福祉事務所で確認する。
働いていても申請できる
厚生労働省は、働いていて就労収入がある人でも、その収入と資産が最低生活費に満たない場合には、生活保護を受給することができると説明しています(出典:厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。「就労していても必要な生活費を得られない」状態は、生活保護の対象となる状態の例にも挙げられています(出典:厚生労働省「生活保護制度(概要1枚資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
一方で、働くことが可能な人は、その能力に応じて働くことが求められます(出典:厚生労働省「生活保護制度(厚生労働省 政策について>生活保護・福祉一般)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。条件全体の考え方は生活保護を受ける条件の考え方を見てください。
収入の扱いの基本
保護費は、最低生活費から収入を差し引いた差額です(出典:厚生労働省「生活保護制度(厚生労働省 政策について>生活保護・福祉一般)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。東京都の案内では、収入として扱われるものとして、給与、賞与、農業収入、自営業収入、年金、仕送り、贈与、国や自治体の手当などが挙げられています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
ただし、働いて得た収入は、全額がそのまま差し引かれるわけではありません。東京都の案内では、勤労収入の場合は、税金、社会保険料、交通費の実費などの経費を控除するほか、収入額に応じた基礎控除などが適用されるとされています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。大阪府の案内でも、交通費や社会保険料などの実費の控除のほか、収入に応じて一定の控除がされると説明されています(出典:大阪府 福祉部地域福祉推進室社会援護課「生活保護制度(大阪府)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
勤労控除の仕組み
勤労控除は、働いた収入のうち一定額を差し引く(収入として扱わない)仕組みです。厚生労働省の令和3年(2021年)の資料では、次のように説明されています(出典:厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護制度の概要等について(第38回社会保障審議会生活保護基準部会 令和3年4月27日 参考資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。表の金額は、その時点のものです。
| 控除 | 内容 |
|---|---|
| 基礎控除 | 働くことで日常的にかかる経費を補い、働く意欲を後押しするために、働いた収入の一部を手元に残すもの。働いた収入の額に応じて決まり、収入が多いほど控除額も増える |
| 新規就労控除 | 新たに継続性のある仕事に就いた人に1万1,700円 |
| 20歳未満控除(旧・未成年者控除) | 働いている未成年者に1万1,600円とされていた控除。令和4年4月以降は「20歳未満控除」という名称になった |
同じ令和3年の資料では、基礎控除は、就労収入15,000円までは全額が控除され、それ以降の控除率は10%とされています(出典:厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護制度の概要等について(第38回社会保障審議会生活保護基準部会 令和3年4月27日 参考資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。これは2013年(平成25年)8月の見直しによるもので、それまでは全額控除は8,000円まででした(出典:厚生労働省「就労・自立インセンティブの強化を踏まえた勤労控除等の見直し効果の検証(第26回生活保護基準部会 平成28年10月28日 資料1)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。古い情報では「8,000円まで」と書かれていることがあるので注意してください。
控除の額は自分で決めつけないでください
ここで紹介した額は、令和3年(2021年)の国の資料にもとづくものです。2026年10月時点の控除額の表そのものは、この記事では確認できていません。手元にいくら残るかは、収入の額や福祉事務所の認定で変わります。「月に〇万円までなら減らない」といった話をうのみにせず、担当のケースワーカー(福祉事務所の担当職員)に確認してください。
収入の申告
受給中は、収入の状況を毎月申告します(出典:厚生労働省「生活保護制度(厚生労働省 政策について>生活保護・福祉一般)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。生活保護法では、収入・支出などの生計の状況に変動があったときや、住む所・世帯の構成が変わったときは、すみやかに届け出なければならないと定められています(法61条)(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。東京都の案内では、働いて収入を得た場合は、収入申告書に給料明細書などを添えて提出するとされています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
申告をしなかった場合などの扱いは次のとおりです。
- 資力があるにもかかわらず保護を受けたときは、受けた保護費の範囲内で、福祉事務所が定める額を返還します(法63条)(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。東京都の案内では、収入の申告がなかった場合も返還の対象とされています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
- 不実の申請その他不正な手段で保護を受けた場合は、費用の徴収に加えて、その40%以下の額を上乗せして徴収されることがあります(法78条)(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。東京都の案内では、罰則が科されることもあると説明されています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
どの扱いになるかは、福祉事務所が個別に判断します。申告が遅れそうなときや、書き方が分からないときは、早めにケースワーカーに相談してください。
アルバイト・副業・自営の収入
アルバイトやパートの収入も、働いた収入として申告します。東京都の案内では、自営業収入も収入として扱われるものに挙げられています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。自営業に必要な店舗や器具は、処分しないまま保護を受けることができる場合があります(出典:厚生労働省「生活保護を申請したい方へ(生活保護の申請について、よくある誤解)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
フリーランスや副業の収入から、どこまでを必要経費として認めるかの基準は、この記事では国の資料を確認できていません。収入と経費が分かる記録を残し、扱いを福祉事務所に確認してください。
就職して収入が増えたとき
豊島区のしおりでは、就職してもすぐに保護が廃止になるとは限らず、最低生活費を上回る収入を維持できると認められた時点で廃止を検討すると説明されています(出典:豊島区 福祉部 生活福祉課・西部生活福祉課「生活保護のしおり(豊島区 令和6年12月作成)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。新しく継続性のある仕事に就いたときは、新規就労控除の仕組みもあります(出典:厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護制度の概要等について(第38回社会保障審議会生活保護基準部会 令和3年4月27日 参考資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
仕事探しの支援
生活保護を受けている間は、働ける可能性がある人に、ケースワーカーから助言や指導があります(出典:厚生労働省「生活保護制度(厚生労働省 政策について>生活保護・福祉一般)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。厚生労働省の資料では、生活保護を受けている人も、就労支援などを利用できる場合がある(一部の自治体を除く)とされています(出典:厚生労働省「生活保護制度(概要1枚資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。ハローワークでは、求職の申込みをすると、求人情報の提供や職業紹介、応募書類の作成や面接のアドバイスなどの支援があります(出典:厚生労働省(ハローワークインターネットサービス)「求職申込み手続きのご案内(ハローワークインターネットサービス)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。仕事探しの進め方は無職から仕事を探す順番と公的な支援にまとめています。
よくある質問
月にいくらまでなら、働いても保護費が減りませんか
一律の金額で答えることはできません。令和3年(2021年)の国の資料では、基礎控除は15,000円までは全額控除、それ以降の控除率は10%とされていますが(出典:厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護制度の概要等について(第38回社会保障審議会生活保護基準部会 令和3年4月27日 参考資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)、実際の控除額は収入の額や認定で変わります。福祉事務所で確認してください。
交通費は収入として差し引かれますか
東京都の案内では、勤労収入からは交通費の実費などの経費が控除されるとされています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。通勤にかかった費用が分かる記録を残しておきましょう。
勤務先に生活保護のことを知られますか
福祉事務所は、収入の状況について勤務先などに報告を求めることができると法律で定められています(法29条)(出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。実際に問い合わせるかどうかは福祉事務所の判断です。気になることがあれば、事前に担当のケースワーカーに相談してください。
勤務先の健康保険はどうなりますか
東京都の案内では、生活保護を受けると国民健康保険の資格はなくなりますが、勤務先の健康保険証などはそのまま使えると説明されています(出典:東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月7日)。
次にやること
- 最低生活費の計算の仕組みを知る:生活保護の金額(最低生活費)の考え方
- 条件の全体を確認する:生活保護を受ける条件の考え方
- 仕事探しの支援を知る:無職から仕事を探す順番と公的な支援
公式の相談窓口
相談先
福祉事務所(生活保護の相談・申請の窓口)
生活保護の相談・申請の窓口です。必要な書類が揃っていなくても申請できます。住むところがない人は、今いる場所の近くの福祉事務所に相談できます。
- 連絡
- 住んでいる地域を担当する福祉事務所の生活保護担当に電話または来所。福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置しています(一部、福祉事務所を設置している町村もあります)。福祉事務所を設置していない町村では、町村役場でも申請の手続きができます。
- 窓口
- 住んでいる地域(住むところがない場合は、今いる場所)の福祉事務所
公式ページで確認する(外部サイト・新しいタブで開きます)(情報の確認日:2026年10月7日)
福祉事務所の設置と、町村役場での申請の出典:厚生労働省(外部サイト・新しいタブで開きます)(確認日:2026年10月7日)
ハローワーク(公共職業安定所)
求職の申込み、職業相談・紹介、雇用保険(失業したときの給付)の手続き、職業訓練の相談ができます。
- 連絡
- 住所地を管轄するハローワークに来所。求職の申込みは自宅のパソコン等からもできます。
- 窓口
- 住所地を管轄するハローワーク
公式ページで確認する(外部サイト・新しいタブで開きます)(情報の確認日:2026年10月7日)
番号や受付時間は変わることがあります。かける前に公式ページで確認してください。
関連ツール
関連記事
公的情報源
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国
- 厚生労働省「生活保護制度(厚生労働省 政策について>生活保護・福祉一般)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国(ただし保護費は「地域や世帯の状況によって異なります」と明記)
- 厚生労働省「生活保護を申請したい方へ(生活保護の申請について、よくある誤解)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国
- 厚生労働省「生活保護制度(概要1枚資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国
- 厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国(金額例は東京都区部等/地方郡部等の2区分のみ)
- 厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護制度の概要等について(第38回社会保障審議会生活保護基準部会 令和3年4月27日 参考資料)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国
- 厚生労働省「就労・自立インセンティブの強化を踏まえた勤労控除等の見直し効果の検証(第26回生活保護基準部会 平成28年10月28日 資料1)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国
- 東京都福祉局「生活保護制度とはどのような制度ですか。」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:東京都(相談・申請は区市町村等の福祉事務所、島しょは支庁)
- 大阪府 福祉部地域福祉推進室社会援護課「生活保護制度(大阪府)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:大阪府(町村〈島本町を除く〉は府の子ども家庭センター、市区町は各福祉事務所)
- 豊島区 福祉部 生活福祉課・西部生活福祉課「生活保護のしおり(豊島区 令和6年12月作成)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:豊島区(運用・記載は自治体ごとに異なる)
- 厚生労働省(ハローワークインターネットサービス)「求職申込み手続きのご案内(ハローワークインターネットサービス)」(外部サイト・新しいタブで開きます)確認日:2026年10月7日/対象:全国
制度確認日:2026年10月7日。この日に上の公的情報源を確認して書いています。制度は改正されることがあり、自治体ごとに違う部分もあります。利用できるかどうかは、各制度の窓口で確認してください。
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