奨学金(日本学生支援機構)の返還が苦しいとき:減額返還・返還期限猶予と、延滞したときの流れ

制度・相談先の確認日:2026年10月28日更新日:2026年10月28日

まず結論

  • 日本学生支援機構の奨学金には、月々の返還額を減らす「減額返還」と、返還を待ってもらう「返還期限猶予」があります。どちらも願い出が必要で、判断は日本学生支援機構が行います。
  • 減額返還は延滞していないことが条件で、給与所得者の年間収入400万円以下が目安です。猶予の「経済困難」は給与所得者で年間収入300万円以下が基準で、1年ごとの願い出・通算10年までです。
  • 失業後6か月以内・病気・生活保護を受けている、などの事情にも猶予の申請事由があります。延滞している人向けの猶予(延滞据置猶予)もあります。
  • 延滞すると延滞金がかかり、3か月以上で個人信用情報機関への登録の対象になります。長く続くと一括請求や裁判所の手続に進むため、返せないと分かった時点で奨学金相談センターに連絡してください。
ノートと万年筆

日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金を返している人に向けた記事です。大学・自治体・企業などの奨学金は、それぞれの窓口に確かめてください。

今すぐ確認すること

  • 次の引き落とし日と、口座の残高
  • すでに延滞している月があるか、何か月分か
  • 奨学生番号と、奨学金の種類(第一種=無利子・第二種=利子付き)
  • 保証の種類(連帯保証人・保証人を立てた「人的保証」か、保証機関に保証料を払う「機関保証」か)
  • 第一種で「所得連動返還方式」を選んでいるか(選んでいる人は減額返還を使えません)
  • 所得証明書の年間収入(給与なら「給与所得」ではなく税込みの「給与収入」)と、今の給与明細の総支給額(手取りではありません)
  • 失業した日・病気で働けない期間・生活保護を受けているか
  • スカラネット・パーソナル(ネットでの手続)に登録しているか

所得連動返還方式の人は減額返還を申請できないとされています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「減額返還制度の概要」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。猶予の審査中でも引き落としや払込通知書の発送は止まらないとされているため、次の引き落とし日までの段取りも確かめておきます(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還期限猶予制度の申請手続き」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。

減額返還と返還期限猶予の違い

日本学生支援機構は、返還が難しくなった人が願い出られる制度として、減額返還・返還期限猶予・死亡や障害による返還免除を挙げています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還が難しくなった場合」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。

返還が苦しいときに願い出る2つの制度

  • 減額返還

    何が変わるか
    月々の返還額を、当初の2分の1・3分の1・4分の1・3分の2に減らし、その分、返還期間を延ばす
    返す総額
    減らない(第二種の利子の総額も変わらない)
    延滞中
    使えない(延滞を解消すれば願い出られる)
    収入の目安
    給与所得者は年間収入400万円以下など
    期間
    1回の願い出で12か月。通算15年まで
  • 返還期限猶予

    何が変わるか
    一定期間、返還を待ってもらう(返還の期限を先に延ばす)
    返す総額
    なくなるわけではない(あとで返す)
    延滞中
    延滞している人向けの申請方法がある
    収入の基準
    「経済困難」は給与所得者で年間収入300万円以下
    期間
    1年ごとに願い出る。経済困難・失業中などは合わせて通算10年まで。病気・生活保護などは事情が続く間
日本学生支援機構の案内からまとめました(出典:独立行政法人日本学生支援機構「減額返還制度の概要」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還期限猶予制度の申請手続き」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「一般猶予の申請事由と必要な証明書」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「経済困難(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。金額は審査の目安・基準で、承認されるかどうかは日本学生支援機構が判断します。

状況別:どの制度を確かめるか

あなたの状況先に確かめる制度主な書類の例
収入が減ったが、月々の額を減らせば払える減額返還所得証明書など
会社を辞めて6か月以内で、まだ再就職していない返還期限猶予(失業中)雇用保険受給資格者証・離職票のコピーなど
無職・未就職・低収入で、年間収入が300万円以下返還期限猶予(経済困難)所得証明書・住民税非課税証明書など
病気やけがで働けない返還期限猶予(傷病)診断書(2か月以内)・収入の証明書
生活保護を受けている返還期限猶予(生活保護受給中)生活保護受給証明書(2か月以内)
すでに延滞している延滞している人の猶予の手続(下の「すでに延滞しているとき」)事情の証明書(延滞の始まった月から出せるかどうかで、手続が変わります)
重い障害で働けなくなった・本人が亡くなった返還免除免除願・診断書・死亡の公的証明書など

出典:(出典:独立行政法人日本学生支援機構「減額返還制度の概要」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「失業中(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「経済困難(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「傷病(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「生活保護受給中(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「延滞据置猶予で申請」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。マイナンバーを提出すると、省略できる証明書があります(出典:独立行政法人日本学生支援機構「経済困難(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。

減額返還(月々の額を減らす)

減額返還は、当初の返還月額では難しいが、減らせば返せる人のための制度です(出典:独立行政法人日本学生支援機構「減額返還制度の概要」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。

減額返還の間に、引き落としが2回続けてできないと

減額返還の間に2回続けて口座から引き落とせないと、延滞が始まったときにさかのぼって減額返還が取り消され、当初の月額で計算した延滞金を加えて返すことになるとされています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「減額返還制度の概要」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。減らした額でも払えなくなりそうなときは、早めに猶予を相談してください。

返還期限猶予(返還を待ってもらう)

猶予は1年ごとに願い出ます。経済困難・失業中・新卒等などの事由は合わせて通算10年(120か月)までで、病気(傷病)・災害・生活保護を受けている間・産休育休などは、その事情が続く間、願い出られます(同じ災害が原因の場合は、災害の発生から原則5年まで)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還期限猶予制度の申請手続き」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「一般猶予の申請事由と必要な証明書」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。

収入は「給与所得」ではなく「給与収入」で見る

給与所得者は、所得証明書の「給与所得」ではなく「給与収入金額」(税込みの年収)で審査されます。証明書の年収が基準を超えていても、今は収入が減っている場合は、直近3か月分の給与明細(総支給額)から年収を試算するとしています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「収入・所得を確認する際の注意点」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。

願い出の時期と方法

  1. 1申請の方法を選ぶスカラネット・パーソナル(ネット)か郵送で申請します(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還期限猶予制度の申請手続き」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。郵送の願出用紙は、ホームページからのダウンロードか電話で取り寄せます。
  2. 2事由に合う証明書をそろえる事由ごとに必要な証明書が違います(上の表)。マイナンバーを提出すると省略できるものがあります(出典:独立行政法人日本学生支援機構「経済困難(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。
  3. 3時期を守って出す延滞していない人は、猶予を始めたい月の3か月前から前々月末までに出します。延滞している人は、できるだけ早く出すよう案内されています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還期限猶予制度の申請手続き」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。

すでに延滞しているとき

延滞すると起きること

延滞が長く続くと

保証の種類長く延滞が続いたときの流れ(日本学生支援機構の案内)
人的保証(連帯保証人・保証人)まだ期限が来ていない分も含めた一括返還の請求と、支払督促の予告 → 裁判所への支払督促の申立て → 仮執行宣言付支払督促の申立て → 強制執行。支払督促以降の費用は返還者の負担
機関保証一括返還の請求 → 保証機関(日本国際教育支援協会)への代位弁済の請求 → 保証機関からの一括請求 → 返済しない場合、保証機関が給与や財産の差し押さえまでの法的措置

出典:(出典:独立行政法人日本学生支援機構「督促:人的保証」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)(出典:独立行政法人日本学生支援機構「督促:機関保証」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。督促を受けても猶予などの手続や連絡がないまま延滞を続けると、一括請求の判断につながるとしています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「督促:人的保証」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。裁判所から書類が届いたときは、期限があるので、借金が返せないときにまずやることの「裁判所から「支払督促」が届いたとき」の注意を読み、早めに相談してください。

延滞している人の猶予(延滞据置猶予)

延滞の始まった月から通常の猶予を願い出られない人でも、今、病気・生活保護・災害・経済困難などの事情がある場合は、延滞している分を据え置く猶予を願い出られる場合があります。ただし猶予が終わった後は、延滞している額と延滞金と当月分が請求されます。経済困難で願い出る場合の基準は年間収入200万円以下(給与所得者)で、通常の猶予より厳しいとされています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「延滞据置猶予で申請」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。

督促を名乗る連絡で、現金を渡さない

日本学生支援機構は、委託した債権回収会社が自宅などを訪問しても、その場で現金を受け取ることはないとしています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「督促」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。不審に思ったら、まず自分の返還の状況を確かめ、奨学金相談センターに問い合わせてください。

返還免除(死亡・重い障害)

本人が亡くなったとき、または精神・身体の障害で働く力を失った(または高度に制限された)ために返せなくなったときは、願い出により、残りの全部または一部の返還を免除する制度があります。障害による免除は、症状が固定した(回復の見込みがない)ことなどを主治医と相談のうえで願い出ます(出典:独立行政法人日本学生支援機構「死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。

連帯保証人・保証人の家族へ

人的保証の場合、延滞すると連帯保証人・保証人にも督促が来ます(出典:独立行政法人日本学生支援機構「延滞した場合」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。本人が病気で手続ができないときは、連帯保証人・保証人や2親等以内の成人の親族が代筆して猶予を申請できる場合があります(出典:独立行政法人日本学生支援機構「傷病(一般猶予の申請事由)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。本人と話し合い、延滞が長くなる前に奨学金相談センターに連絡してください。

よくある質問

猶予や減額返還を使うと、返す額は減りますか?

減りません。減額返還は月々の額を減らして期間を延ばす制度で、返す予定の総額は変わりません(出典:独立行政法人日本学生支援機構「減額返還制度の概要」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。猶予も返還を待ってもらう制度で、あとで返します(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還が難しくなった場合」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。

申請したら、すぐに引き落としは止まりますか?

止まらないとされています。審査中でも口座振替の請求や払込通知書の発送は止められず、延滞している場合の督促も止められません(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還期限猶予制度の申請手続き」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。そのため、延滞していない人は、猶予を始めたい月の3か月前から前々月末までに願い出るよう案内されています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「返還期限猶予制度の申請手続き」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月28日)。

どこに相談すればいいですか?

日本学生支援機構の奨学金相談センター(0570-666-301・ナビダイヤル。IP電話などからは03-6743-6100。9時〜20時、土日祝日・年末年始を除く)です。通話料は本人の負担で、来訪による相談は受け付けていないとされています(出典:独立行政法人日本学生支援機構「お問い合わせ先一覧(奨学金相談センター)」(外部サイト・新しいタブで開きます)/確認日 2026年10月27日)。奨学金のほかにも借金があって返せないときは、借金の無料相談先の窓口に相談できます。

奨学金を返すために、カードローンなどで借りてもいいですか?

すすめません。まず減額返還・猶予を確かめてください。返済のための新たな借入れの注意は、借金が返せないときにまずやることにまとめています。生活費そのものが足りないときは自立相談支援機関に家計の相談をしてください。

次にやること

公式の相談窓口

相談先

番号や受付時間は変わることがあります。かける前に公式ページで確認してください。

関連ツール

関連記事

公的情報源

制度確認日:2026年10月28日。この日に上の情報源を確認して書いています。制度は改正されることがあり、自治体ごとに違う部分もあります。利用できるかどうかは、各制度の窓口で確認してください。

誤りに気づいたら訂正ポリシーの方法でお知らせください。